ドリー夢小説




代わった

人も変わり、時代も変わり、国も代わってしまった


このまま己も―…
己の意思とは別に代わってしまうのだろうか?







「―…



ふと、自分の名前を呼ばれた事で覚醒する
どうやら少し眠ってしまっていたらしい

目を開けると鮮麗な藤色の髪が広がった





『…ん……』





視界が正確に捕らえるまで少し時間が掛かった
瞳を擦れば、自室のソファに腰を下ろしていた

その横にサレが座っている






『…サレ…』

「呼びに来て見れば寝てるし」

『あぁ…悪ぃ』






やれやれ、と大袈裟に両手を挙げ立ち上がる
パサリ、と彼のマントが音を立てて揺れた

窓の外を見ると橙の掛かった空が伺える
どうやら夕刻前らしい







『収集?』

「そ。お姫様直々の、ね」






『―…アガーテ様が…?』






少し怪訝そうに眉を潜める
反応をサレは面白そうに見た

藍の瞳が揺れる
藤色から覗く瞳が細く微笑むのが分かった
この笑みは―…


大抵何かサレのお気に召しな事が逢った時だ






『何故そんなに楽しそうにしている』

「何故―?なぜ…ねぇ…その理由は後から分かるんじゃないかな?」






早く用意しなよ、と軽く促しソファーから立ち上がる
自分も上着へと手を伸ばし準備を整える

漆黒の前髪が少し邪魔で不満げに掻き払った





「…相変わらずなんだね」

『…何の事だ』

「そうやってはぐらかす事さ。そんなに黒髪が嫌いかい?」





――闇が映える漆黒

交じり気の無い漆黒
何色にも染まらない
何色にもまじ合わない

黒は全てを濁すイロ
全てを破壊するイロ―






「―…黒髪が嫌いで何故、黒しか身に纏わないのか不思議に思うけどね、僕は」




漆黒の髪から覗くオッドアイが揺れた





『別に。…嫌いと言うわけじゃない』

「その割には目付き悪くなってるよ」

『元々だ』




そう言いマントへと手を伸ばす
バサリ、と音を立て漆黒のマントを翻す

革靴の乾いた音が部屋へと響いた





『…行くか』

「そうだね、お姫様を待たせちゃ駄目だし」




ベルトを留め、サレへと続く
扉を閉める瞬間
ふいに窓へと視線を移してみた

先程まで橙色に輝いていた太陽は沈み、
紫が掛かった闇が覗いていた






これから、いつもの様に普段どおりに
夜が来るのだ――



迫い来る闇を睨み

踵を返し扉を閉めた












2005/04/06

…連載… ?





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