気づいていますか?




貴方を見るたびに私は------------







          触れぬココロ








静かな風が周りを取り囲むように流れている

瞳を閉じて耳を済ませれば近くに流れている小川の澄んだ音

平穏な天界に有触れた光景である


四聖獣の一人、玄武のシンはよく訪れる場所

草と草の擦れ合う音が妙に心地よかった


最近、特に天界にも不穏な動きもなく、六聖獣も普段通りの日が続いた


 
けれど……


自分の心は普段通りの。という状況とは異なった




「…はぁ……」


思わず小さなため息を漏らし、眼鏡を外す

瞼に掛かる前髪を少し避ける



その瞬間


背後から声が聞こえた


透き通るような、いつも聞きなれた声


『シン』


…」



その人は清清しい笑顔を浮かべながら立っていた


漆黒の髪、後ろで短く結べそうな位の長さ

傍から見れば見れば全身を黒く包んでいるという不思議な印象を与えるが
彼女には黒。が似合っていた

瞳は蒼と碧のオッドアイ


微笑むときに細くなる瞳が美しいくらい目が離せない





そして…


先程のため息の原因が彼女である




『眼鏡、外すんだね。外してるところ初めて見た』


そう言い、私の傍に寄ってくる



『隣、座っていいかな?』


「えぇ、どうぞ…」



少しの距離を置いて腰を下ろした

風で彼女の髪が靡いているのが伺えた


『さっきまでガイとマヤの相手をしててね。もう疲れちゃって』



照れくさそうに笑顔を作る

彼女は誰にでも好かれた

その明るさが、陽気さが人を集めるのだろう


自分もその内の一人なのだが


「ガイとマヤも最近はにべったりですね…」


『お陰で疲れるけどね…』


その笑顔


誰にでもその笑顔を向けているけど…


私の前だけで笑って欲しい。という独占欲が隅の方にある


どうかしているのだろうか?と、自分でも思うくらいに



貴方に恋している

貴方を欲している



『…シン?』

「え…?」

『ちょっと放心状態だったけど?』

「あ…大丈夫ですよ…」   

『そうか…?』



こんな事、誰にも知られたくはない


ましてや彼女には絶対


けれど、この気持ちを伝えたい



なんと矛盾している志向


それもこれも、貴方の所為なんですよ…?


貴方と出会ってから




『いい風だね…』

「そうですね」


今はこのままの関係でいい

この関係を、この距離を壊したくないから



ねぇ

もしこの気持ちを貴方に伝えたら……


どんな顔をするでしょうか


貴方の傍にいたい
     隣にいたい



貴方を見るたび




私は----------------------




そう思ってしまう





   end













  
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