ドリー夢小説

紅に染まる雲が
流れていく空

光と闇の間に吹き抜ける風を
一人見つめていた

貴女は遠くて、近くて
でも私も手では捕まえる事は出来ない









































空が茜色に染まっていく
周りには只流れるように吹く風と、草が擦れ合う軽音


誰も居なく、天界の草原を一人歩いていた
何となく一人になりたくて、安っぽい感情に黄昏たかったのかもしれない
そんな事で私の不快は解消されるはずも無い
そんな事を分かっていても今は何も考えたくは無かった

何もしないよりはましだから
自分の翡翠色の髪が頬を掠める



何も考えず、行き先も無く
目的も無く只管と前へ進む

夕焼けに染まる空が儚かった






-信じられるものもなくて捧げたかりそめの祈り
僕の望む真実には 応えられる声も無くて-







寂しい―…
そんな感情、当の昔に捨てきれたと思っていたのに



彼女の顔を見るたびに、自分の何処かが壊れていくようで
けれど彼女の傍に居ると
暖かくて、優しく包んでくれる様な感覚





カサリ、と草を踏む音
後ろを振り向くと髪の毛を押さえている彼女

漆黒の髪は艶やかに、少しだけ空の色の紅に染まっていて
こんな色の彼女も良いな、なんて勝手に心の中で思った
彼女と視線が合うと、微笑む




『風が気持ち良いな』


「えぇ…此処は天界の中で一番お気に入りな場所なんです」





この言葉は嘘じゃなかった
何となく気が落着かない時によく此処に訪れていたから




-紅に染まる雲が 流れていく空
光と影のあいだを 風邪が消えていく

憂いだけを残して-





『確かに、良い場所だ』




そう、彼女が微笑んだ
左右違う瞳が微かに細む
その仕草でさえ、愛しいと思えてしまうのだから結構な重症だ




-振り返る 影だけが
やっと君の姿を見つけた-





「そうでしょう?」




彼女が微笑むから、僕も微笑んだ
けれど今僕が作った笑みはちゃんと彼女の前で微笑んで入れただろうか

それさえも分からない
僕の心は錆付いてしまっているから、きっと表情も偽りでしかない





-紅に染まる心 一人抱きしめて
光と闇のあいだに たださまようだけ-





「…辛い時」


『ん?』


「…誰にも云えない事を抱えた時、僕は此処によく訪れるんです」




愚かな罪を重ねた時、重ねる度に来る場
本当ならば汚れている自分などが来てはいけない場

辛くて、胸が詰まる思い
闇から逃げて、逃げて迫られる
恐くて、恐くて―…


感情なんて消せ切れない
必ずとも来る恐怖心と、罪を秘めた思い

そして、貴女に対する感情
こんな愚かのな僕を迎えてくれるその笑み
声、表情、瞳




全てが愛しくて仕方がない





今だってそう
何も聞かず、疎外することも無く
傍にいてくれた

それだけで僕は救われるのだ
彼女、という存在があるというだけで






「ねぇ…僕が…」





人間で入れる時間、愚かになる前に
微かでも良いから





「砕けそうに為った時、貴女は傍に居てくれますか?」





誰一人として僕の存在を忘れても
貴女にだけは覚えていて欲しい

パンドラ、という存在を貴女の体に刻みたい
その貴女に




『砕けないよ』


「……」


『俺が傍で支えてやるから』


『崩れることは無いよ』




彼女の漆黒の髪が揺れて
僕の翡翠の髪が揺れた

風邪に流れて消えた彼女の言葉は、しっかりと僕に刻まれて
消えない、離れない、離さない




「…じゃぁ…僕は安心して貴女の傍に入れますね」




背中では夕日が燃える様に映っていた
紅に染まった雲は貴女の様に、優しく包み込んでくれそうと



僕は今、笑えただろうか?



本当の僕で、本当の顔で
嘘の無い、あなたの前で笑えましたか

フラッシュバックの様に貴女の表情が映し出されて
そのどれもの彼女は優しく、いつもどおり微笑んでいた

その横で、僕の姿も







-たとえ何をなくしても 僕は恐れない
光と闇のあいだに 希望を見たから





君に出会えたから-















Saint Beast Coupling CD series#3
sing:zyun hukuyama





end

2004/11/12
久々SB夢更新

結構お気に入りかも…?



web拍手やBBS等でご感想大歓迎です






SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送