ドリー夢小説

雪がひらりと舞い散れる
この銀景色の中


只立ち尽くすだけ








       雪白








未だ光が差さない明朝
揺らめく影が伺えた








『…清明』



「おぉ、か」






真っ白な中庭
薄着で呆然と立ち尽くしている主を見つけたとき
はっきり言って声を掛けようか戸惑った







『風邪を引く』






近くへと歩み寄り軽衣を手渡す
そっと触れた手は冷たくなっていた






「すまぬのぉ」



『お前が風邪を引いたら私が太陰達に咎められるだろうからな』





外は冬の時期を向かえ
中庭一面に雪が降り注いでいた

銀世界の中に漆黒の髪をした式、

彼女は十二神将とは違う
しかし清明には忠誠を誓っていた

それは決して解けない糸の様に堅く






「それにしても寒いのぅ」



『寒いのならば外に出なければ良い。ましてや薄着で等』



「まったく…も青龍同様、普段何も言わない分返って来る言葉が厳しい」




肩を揺らせながら笑う

雪は静かに降り積もる
このままだと日が明ける頃には結構な量が積だろう






『何かあったか?』





が問うと一瞬微動したかのように思える
主の背中が儚く感じた





「特に。何も無いわ」



『…そうか』






そのまま沈黙が落とされた
けれど
決して心地の悪いものではない


は清明を問い詰めようとはしなかった




我が主は意地っ張り
そのことを誰よりも分かっていたから






「雪…白じゃのう」






ふと、呟くように答えた
その言葉は降り注がれる雪へと消えてゆく





「…若菜も白が良く似合った」






今は亡き妻
怨霊的なものが全く駄目でよく屋敷に入り込んでいた雑鬼達を見て
悲鳴を上げていた


十二神将、青龍の目付きだけでよく泣いていたものだ






『そう…だな…』





の記憶を遡れば清明と共によく笑っていたのを思い出す

その笑みはとても優しそうで


暫く雪を眺めていた

もしくは、雪と若菜を重見しているのかもしれないが
は何も言わなかった
何も言わなくても良い、と判断したから






「さて、そろそろ入るかの。後からどやされない様に」



『あぁ、そうしろ。もう若くは無いのだからな』



「言ってくれるではないか」



『あぁ、何度でも言ってやろうさ』






笑みを交えながら屋敷内へと戻る

が足を止めて後ろを振り向く
勿論、その場には誰も居ない




?」



『否…何でもない』





肩に掛かる雪の冷たさ
見上げれば天から舞い降りてくる様な白き雪




冷たいけれど

どこか暖かいそんな感じ







瞳を閉じれば、彼女の優しい笑顔








*end*













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