ドリー夢小説


『俺は命懸けても貴方を守ります』


そう整った表情で告げられた
俺と同じ漆黒の髪から覗く蒼の瞳が―…


捕らえられて離れなかった











+Cross+












眞魔国血盟城
その一室から新魔王、渋谷有利原宿不利ことユーリが教育係から逃げ出した所だった





「陛下ぁ〜陛下ぁぁぁ!!!!」




特に日常茶飯事な事だ
その甲高い声を聞けば、あぁまたか…と思うだけ






 *  *  *   *  *







広い中庭
見上げれば蒼空が広がっている
暖かい日差しが体全体を包み込む






「…まったく。こんな天気が良いのに部屋に籠もってらんないよなぁ」




広がる芝生に体を預ける
最近はいつも城の中で勉強
外の空気でさえ吸わせて貰えなかったのだから




「ったくギュンターの奴…少しくらい休憩くれたって良いじゃん〜」





だって空はこんなに蒼いのに
その時
ふと、頭の中に浮かんだ色と人物が絡まる




「…蒼…蒼…?」






と想い浮き上がる人物
初めて出逢ったあの日…




真っ直ぐな瞳をし、俺を守ると言った彼





「……」




『呼びましたか?陛下』




「ってうわぁっ?」







俺は急に帰ってきた返事に驚き後退する
呟いたはずの言霊はしっかりと本人の耳に届いてしまったのだから




『お呼びですか?陛下』




にっこりと優しく微笑む様に彼は表情を創る
俺と同じ漆黒の髪をしていて結べそうな位までの長さ
こっちの世界で黒髪は珍しい物だと聞かされているけれど
彼の髪の色が本物かどうかは分からない

から話さない限り、深く追求しようとは思わなかった




「あ、いやその…特に用事って訳じゃ」




しどろもどろな状態でよく頭の回転が回らない
そんな俺の行動を見て尚優しく微笑えんだ

けれどその笑みは
触れてしまったら簡単に壊れてしまいそうな―…気がした






『ギュンターから逃げ出したんですか』





ぎくり、と俺は一度肩を微動した
まさかこんなにも早く脱走がばれるとは思わなかったから




「だってさ、ギュンターの奴一日中勉強させるんだぜ」




おまけに加えて一人で妄想暴走し始めトサ日記風な状態
正に手の付けようがない、というか逃げ出したい雰囲気




「俺だってたまには休みたいんだし」





俺の横に座った彼は風に流れ前髪を揺らしていた

俺と同じ漆黒の髪
瞳こそは違うけれど…
は不思議な印象を漂わせる

それが彼の第一印象だった





『ギュンターは陛下に早くこの眞魔国を知って貰いたいんですよ』





そう彼は両手を広げて立ち上がる
漆黒の髪が揺れた

その姿が強くて…目に焼き付き離れなかった





「そ…かな」



『はい』



「そっか…」





彼と同じく立ち上がり背筋を伸ばす
思い切り鼻から空気を吸う
清々しい空気





「なぁ、





不意に俺は遠くの景色を見たまま彼に語り掛ける





『何ですか?』






蒼い瞳が俺の姿を映した
彼は―…





も…俺を魔王にさせたいのか…?」





自分でも何でこんな質問をしたのか分からなかった
自然に口が動いてしまったのだから

一瞬、は驚いた様に瞳を大きく開いた
けれど次には何時も通り彼らしい笑み




『それは陛下が決めることですから』



「え…?」



『でももう陛下は決めているのでしょう?』





優しい
柔らかい
暖かい笑み

何故だろう
俺はこの笑みを知っている様な気がした





「はぁ〜…にはかなわないな」





大きく伸びをする
空に届きそうな位に









『何ですか陛下』



「俺が魔王らしくなれるまで…傍に居てくれたりする?」






俺が聞くと彼は―…





『勿論、俺は貴方を命を懸けても守りますよ』





強い信念を帯びた瞳は蒼く揺らいだ

まだ道のりは長いけれど、きっと前に進める
俺には信頼できる人間が居るから

俺は前に進む事が出来る











end..



2004/10/27



---オマケ---

「いやぁ〜みたいな男友達が欲しいよ」

『そうですか?』

「だって頼れるし強そうだし」

『俺は陛下をお守りする事は出来ても男友達は無理ですね』

「え?何でもしかして迷惑?」

『じゃなくて。俺は女ですから男友達は無理です』





「え………?」



実は女性でしたオチ

初・まるマ夢で心臓飛び出そうです…(汗
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