ドリー夢小説

眩しくて
手の届かない様な


手で触れてしまったら

もう戻れなくなりそうで










硝子微笑









静かな場所
少しだけ

落着ける場所


部屋には絵具独特の匂い
それにも慣れてしまって
もうどれ位この場所にいるのかさえ分からなくなっていた


つい時間を忘れてしまう
手が動くままに筆を進める



俺にはそれしか出来ないから…




こんな状況を面倒見の良い、篠宮が見たらどう思うだろうか
そんな事を頭の片隅で考えながら筆を動かす




外では秋風の清々しく、どこか寂しい様な音が聞こえた
葉と葉の掠れる音

紅葉をモチーフに何か出来たらいいな、そんな事が頭を過る






暫くすると
ドアを開ける音と共に
頬をなぞる暖かい風が流れ込んできた



そこに立っていたのは
同じ学年の


特有の漆黒の髪が風に吹かれ
より一層美しさを増していた



『あぁ…悪い。丹羽を探しに来たんだけど…来なかったか?』


「いいや…見ていない…」




また生徒会を逃げ出してきたのか、
そんな事が軽く過った

ただそれだけのこと
あまり彼とは個人での面識がない
ただ、篠宮とよく居るからたまに話をするだけ


そんな関係




『そっか…悪いな。邪魔した』




そう、彼がドアに手を掛けた途端


急に目眩がして
俺の目の前には床が迫っていた



気を失う前に
微かに聞き取れた声がどうしても耳に残る様な気がした









*   *   *   *   *   *






風が流れた



生暖かい風
頬を撫で、髪を擽る


そっと目を開けると視界に入ってきたのは天井
体を起こすと軽く目眩がした

そこに声が振る




『あぁ、起きた?』



「……?」



『驚いたよ。急に倒れるんだ』



触れると額には冷たく濡れた感覚
小さなタオルが添えてある

何処となく
心地よかった


『水。飲める?』


「あぁ…」


稀月から透明な硝子に入った水を受け取る
窓からの日差しが反射を受けて
水滴が美しかった



『取敢えず。篠宮呼んでくるから』


「そこまでは…」


『いや、これは一応報告しておくべきかな、と」




そう言った彼の笑顔は眩しくて
先程の硝子の様に美しく

けれどとても儚く
うっかり触れてしまったら



壊れてしまいそうで-----




『顔色、悪いから。ちゃんと飯食えよ?』



言い残した彼の足音が遠くなっていく




がらんと静かになった教室
窓から風が流れてカーテンを揺らす





「…そういえば…」





礼の言葉を言っていない
言う暇もなく彼は教室を飛び出していってしまった



他人に干渉されることが苦手
自分から人へ混じるのが出来ない



そんな弱い自分を彼が変えてくれることは
まだ先で


自分さえも気が付いていない






「明日…言わないと…」



ぽつ、と呟いた言葉は
誰もいない教室へと消えて行く


手に残ったのは
彼が残していった
冷たい布と



暖かい手の感触と





眩しい様で脆い笑顔だった











end.....


04/09/13

※9/14 修正加筆



初・短編夢で岩井さんです。
…何となく書き易そうだったから…?(聞くな

ちなみに未だ岩井さんには女だとばれていない頃です



短編と連載両方頑張りたいです…です…(弱気





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その後彼が呼んできた篠宮さんにこっぴどく
怒られる岩井さんの姿を想像してみる(笑



























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