ドリー夢小説


戦の中で、目を引いた物があった
それは戦場を駆け抜けている黒い狼の様―…

俺は自然に剣を抜き黒き狼に向け足を走らせていた






     戦舞







----傭兵隊の砦内にて―…----


傭兵隊は一度、王国軍を退けたかの様に思えたが、すぐさま速攻を仕掛けてきた
その為アップルの策は虚を突かれ、正に今砦は落ちようとしている 炎が踊る砦の中、
周りには無惨な光景が広がっていた





『っち!』




は出来るだけ敵を少なくする為に剣を振るう

今はフリック達が火炎槍をボイラー室に投げ込んでいるところ
その邪魔をさせないためにも敵の侵入を許させない



『悪いが邪魔しないでもらいたいねっ!』




剣を向けてくる王国兵を相手には刃を向ける
その周りには倒れた王国兵の姿が見れた




『早くしないと援軍が来るってのに…』




----剣を降り下ろし顔に着いた返り血を拭っている その瞬間―---



『っ!!!』



の横を一閃が走った




「へぇ…避けたか」





若らしい声
白と赤の軍服、印象的な赤い髪

それは強き燃え盛る炎の様




* * * * * *




炎が舞う中、二人は立っていた
二つの剣が炎の光を受けて朱みを映し出している



「お前ここの砦の奴か?」


『…通りすがりの者デスヨ』


「嘘つけ」


『まぁ….嘘だけどさ…』




場とは違う二人の会話
しばらく静寂が駆け抜ける


先に剣が舞ったのはからだった




『っ!!』





キィンと剣と剣がぶつかり合う音が炎の中に響く




「へぇ、お前なかなかやるな」


『お誉めに授かり光栄だねっ』



が狙うと相手は交し、
相手が突くとが避ける
動くたびに相手の深紅の髪が靡く


炎の中で舞うように-----



幾度か剣を交えると共に周りは炎に包まれていく




その時―



構えと共に大きな爆発音が響いた




「っ何だ!?」



その爆発音と共に炎の奥から二つの影が映し出される



!」


『ビクトール遅いっ!』



大柄な男と青で装った男がこちらに向かって走ってくる



!爆発が始まる!早く逃げるぞっ!」



フリックが叫ぶ
二人は中にいる者がいないか確認するため再び砦の中に駆けていった

周りの炎も強みを帯てきていた





『だ…そうだ。そっちも逃げた方が良いだろ?』


は相手に語り立てる



「へぇ…お前ってんだ。覚えとくぜ」


『…そっちは?名前』


「シード」



(ハイランド第4軍団の武士か…)



先程の戦いでは先陣を切っていたのを耳にした



『で、逃げたら?』



ボイラー室に詰め込まれた火炎槍はもうすぐ暴走を始める
しかしシードの顔には挑戦的な笑みが浮かんでいた




「…お前と決着…つけてないだろっっ!」


の横を一閃の鋭さが走る


『ちっ…!』


とっさに避けたが腕に赤い線がつくられる
それと同時に一歩進み剣を突き出す



『そんな場合じゃねぇっつぅの!!!』



再び二つの剣が火花を散らしている
幾度か剣を交える、が大地は揺れ始めていた

爆発が限界地点まで達していたのだ




「うぉ!!?」




揺れでバランスが崩れたシードは膝を地につける


立ち上がろうとした時
喉元には鋭き剣の先端が構えられていた




『……』



炎の中に小さな沈黙が走る
反対に周りの炎は大きな音を燃え立たせる


周りを見渡し、は剣を鞘に納めた




「んなっ!?何でやんねぇんだよ!」


『んな暇無いっ!』



周りは全て炎に包まれている
このままではお互い逃げ場が無くなる為
ドォンと煙の中から音が響いた



―----砦内のドアが打ち開けられた

そこには数人の影-----



『ビクトール!…と?』


「話は後だ!!逃げるぞ!もう限界だっ」




ビクトールの後ろにはやナナミ達がいた
砦が炎に呑み込まれ次々と崩れていく



は一度シードを見、そして踵を返した



『…ま、こう言う事だから!お前も逃げた方が良いぜっ!』


「なっおい!待てっ!」



その姿は森の奥へと消えていく
数人の影は瞬く間に煙で視線を遮られた





「んだよ。変な奴…」



気が抜けその場に座り込む



------そこに背後から自分を呼ぶ声が聞こえた---



「シードッ」


「…クルガン?」



同じ王国軍第4軍団のクルガンが馬を走らせこちらに向かって来るのが見える



「ここは落ちた。戻るぞ…?」



しかしクルガンは、シードの状態を見て顔を顰めた



「シード…お前誰かと戦りあったのか」



シードの軍服にはいくつかの裂けた痕が残っていた



「ん…?あぁ変な奴とな」


「変な奴?」


シードの返答に眉を寄せる



「そ。変な奴」


その顔は笑っていた
面白い玩具を見付けた子供の様に





そして二人が又逢う場所は同じ戦場となる
王国軍の立場として、新同盟軍の立場として


剣を交える敵として―……







*END*

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