ドリー夢小説 は広い草原に立っていた

周りからは草と草の重なり合う音が心地よく感じる




 "人は涙を流す
    時を越えても



どんなに進化しても人は涙を流すだろう
涙は自らの心を表した結晶なのだから…"






風の唄と共に彼女は自然に口ずさんでいた
周りに彼女の唄が風と共に溶け込み
共鳴のようにも思えた



ここはデュナン城から少し離れた草原




は多摩にこの場に来ては風と戯れていた
自然に風も彼女に打ち解けていたのだ






"涙を流すことは
    弱いこと?

心の結晶を溜め、
 いつかは壊れてしまう…"





空を仰いで目を閉じる
清々しい風の音が辺りを包み込む







「…へぇ…珍しいね」





サクッ
と、音を立て後ろから声が聞こえた





『ルック』



「君が唄うなんて…」





の横に腰を下ろす


緑と白で調和された法衣が馴染んだ






『そ?』




「あぁ。昔はよく唄ってただろ?最近は聞かないと思ってね」





昔はよく塔で歌ってた、
そう付けたしルックは草の上に寝そべる






『あの時は若かったなぁ』



「何が若い、さ。あの時点での年齢考えなよ」



『ハイ…』




鋭いルックの口調に言葉が返せなかった

昔からよく彼からは毒舌を浴びていたかも知れない
がその都度は口喧嘩では勝てなかった気がする



彼とはレックナートの紹介で初めて出逢った
久々に塔を訪れていたら入り口に彼が立っていた






「何?何か用?」





それが彼から聞いた初めての言葉
その後暫く塔での暮らしが続いた




レックナートとルック、そして




時が過ぎるにつれ、
彼の自分に対する雰囲気が和らいでいくのが分かった


まぁ、
さっきみたいな
厳しいお言葉を頂く時もあったのだが








「……何さっきから黙ってるのさ…」





ルックの一言で思い出から引き離される





『んー?否、ちょっと昔の事をね…』





昔…
と言っても彼女にとってはつい最近のようにも思えた





「昔…そう言えば君って僕に初めて言った言葉覚えてる?」





ふいに、ルックはそんな話題を持ちかけた





『え…俺何か言った…?』



「覚えてないんだ…」



『あはは…』





初めて彼女が塔に訪れたとき
何とも無愛想な番人が立っていた


それは少年とも言える装いで







* * * * *


彼女が彼の目の前に立ち-----





『君の目の色って…凄く綺麗だね』




そうやって彼女は微笑んだ
初めて出逢って、初めて見た君の笑顔…







   ・
   ・
   ・
   ・








『エ…?』



「え?、じゃないよ」





は途端に耳の裏が仄かに熱くなるのが分かった





『俺、そんな恥ずかしい事初対面で言ったんだ…』





ぼすん、
と音を立て後ろの草むらに寝転ぶ




「しかも満面の笑顔でね」



『うわぁ!!』




ルックは更に追いたちを掛ける
彼女の横にルックも寝転ぶ






「…別に…」





小さく彼が呟く





『ん?』








「別に嫌じゃなかった…」







風に言葉が溶け込み、草の音とまざり合う




だって…君の笑顔の方がよっぽど綺麗だったから







「嫌じゃなかったよ…」



目を閉じ、風を直に感じる







『……』






暫く二人の間に沈黙が流れた
けれどそれは緊張した黙ではない






「…ねぇ、



『ん?』




「唄ってよ」





ルックとの瞳が重ね合い
風が駆け抜ける







『…じゃ今日はルックの為に唄いますか』






が立ち上がり両手を広げ
風を求める






草原は雄大な夕日に照らされ朱みがかかっていた
何処までも続く景色








この唄は君に


捧げよう







今、この草原にて囁いて唄う唄を









風へ-----









君へ捧げよう










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