ドリー夢小説


新・炎の英雄ヒューゴの誕生


城内ではその噂で持ち切りだった
何となくその噂から逃げ出したくて


自然に俺の脚は城の外へと向かっていた










  自分であること









* * * *


ヒューゴは城から離れた風の靡く草原に寝転がっていた



----数日前
炎の英雄の待つ地にて俺はサナさんに導かれ真の紋章を受け継いだ


--道を開くのは運命ではなく人の意思---



その場の勢いで継承者になってしまった様な物なのに
運命も意思も何もないー・・・
そう思ってしまう



「...俺..本当にこの紋章受け継いで良かったのかな..」



そう言い右手を掲げる
その甲にはくっきりと真なる炎の紋章が浮き出ていた

炎の英雄---
俺はこの人の様になれるんだろうか...
皆を導けるんだろうか
そればかりが頭から離れない



「分からないよ...」



ごろりと寝返りをうつ
頬には草が触れる
そこにひとつの影が出来た








『何が分からないんだ?』


「うわっっ!!」



辺りに誰もいないと思っていた分
急に聞こえた声に驚く


...驚かせるないでよ...」


『んな驚かせる気は無かった』




目の前にいるのは同じ炎の運び手の
俺より少し年上に見えるけれども真の紋章継承者
しかし彼女の紋章がどういう物なのかは知らない

真の紋章持ちは不老が与えられる
実際、彼女は50年前と共に戦った事があるって聞いた




「...なんでここにいるんだ?」


『軍曹がさ。アイツ悩んでるみたいだから何か聞いてやってくれって』


「余計なことしなくても良いのに...」



そんなに表情に出ていたのだろうか?
自分が悩んでいる事が...



『最近元気なかったもんな』


「そっそうかな...?」



にも指摘されて少し驚いた
風が二人の間を流れる



「ねぇ...


『んー?』

 
は既に俺の隣で寝転がっていた
彼女に聴きたいこと
それは...



「聞いていいかな..?」


今の俺にとってはきっと大事な事



「炎の英雄のについて..」




は最初驚いたようだった
けれど何かを悟ったかのように目を下ろす




ねぇ...
あまり聞いても参考にはならないと思うけど』



彼女は後ろに手を伸ばし空を見上げる


「でも...
今の俺には聞いとかなきゃなんないと思うから...」



俺はを向き視線を合わせる




『...は...』



俺はの言葉を待った
どんな栄光ある人物だったのだろう
俺とは違う...

そればかりが気になってしまって





『書類処理が苦手で俺に押し付け散々逃げて、怠け者だしやる気は無いし』







・・・・・





「えっ...?」




俺は思わず声が裏返える
書類処理が苦手..?





『人には迷惑掛けるわ、目を離すとすぐいなくなるわで本ッ当に手が掛かる奴だった!』




は全ていい終えた様ですっきりしたように笑顔を浮かべている



「えっと....あんまり想像がつかないんだけど..」


『あのさ...』


『ヒューゴがどうのこと想像してた分からないけど...お前が考えてるカッコいい奴じゃないよ?』




もう一度は草むらに寝転がる
真上には彼女の瞳と同じ空の色に雲が流れていた





『でも...』


「?」



がポツリと呟いた




『何故だろう...俺はに付いて行けば希望の...光?みたいなのが見えると思ったんだ』






人を自然と引き寄せる力を彼は持っていた
だからは付いていったのかな...?


彼に....




『...は、炎の英雄のを慕ってたんだな』



彼女は一瞬驚くように見開いたが、
すぐに表情は和らいぐ




『そ...だな。になら..俺の全てを任しても良いと思った....』




彼になら...
自分のの人生全てを...




『まぁ...はそんな奴だった!だからさヒューゴが悩むこと無いんだ』




お前が望めば人は自然に集まる、
そう付けたし俺を真直ぐと見る





「そう..かな」


『あぁ。胸を張れって!より大分真面目だ』




彼女の表情が明るくなる
普段は男気含まれる感じだがこんな表情も出来るのか...
そう思って俺は知らぬ間にの顔を覗き込んでいた




『...ん?何か顔についてる?』



「あっ否、別に...!」




俺は慌てて顔を戻す
気が付くと日は傾き空は橙色へと変わっていた
が立ち上がる

彼女の漆黒の髪は夕焼けの色に燃えて紅み滲んでいた




『じゃ、帰る?それとも間だヒューゴは悩んでるのか?』




夕焼けを背中越しにが問いかける
俺は....




「否...帰ろう。きっと軍曹も心配してるだろうし」



は笑顔を作り城へと足を向ける
その後に俺も続く



この道は俺達の帰る道





『取敢えずは現時点での悩みは解決されたのか?』


「んー..分からない」



本当に分からない
完全に悩んでいないというのには嘘になる

けれど気持ちの整理は少し前進した気がするから





「でもさ・・・」




俺は足を止める




「俺もいつか....」



 
いつか


君が



がそんな風に笑って語れる様な英雄になれるかな...?」



君の笑顔は眩しかった
炎の英雄・に少し嫉妬心を抱いてしまうくらいに------




『なれるさ。ヒューゴなら...きっと』




その笑顔につられて俺も顔が綻んでしまった
何でそんなに俺求めている言葉をさらっと言ってくれるんだろう----?




『だから俺は力を貸そう。お前自分自信が求めている英雄になれる様に....』




は腕を差し出し、その腕に俺も自分の腕を重ならせる



が付いててくれるなら安心だよ」


『そ?』


「あぁ.....すごくね」



最後の言葉は彼女に聞こえないように呟いた

が傍にいてくれるだけで
何だか頑張れそうな気になるよ---



これは曖昧じゃない、俺の中の確信

俺達は城へと足を向ける

ただの道じゃない

それは英雄に見せた道----



 
希望へとつながる道を...


悩む時だってあるかもしれない


けどがいてくれれば何か変わるかもしれない



彼女が言ってくれたように----

俺は、俺のまま


自分であることを信じて進もう





*end......*
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