ドリー夢小説


昔、ある人から聞いた言葉が未だに残っている
それはきっと自分が生きている間決して忘れはしないだろう

その言葉を自分の中に刻んだのだから






tear









雲一つ見えない昼下がりの草原
ふいに自分の名前を呼ばれた人物は頭にいくつかの草を付けて起き上がる



「ん―か…」


『情けない格好してんなよ…』


「うっさい」



は頭の草を振り落とし再び寝転がった
その隣にも腰を下ろす



『…仮にも炎の英雄サンがこんなとこでサボってていいのか?』



は炎の運び手のリーダー、炎の英雄
その名の由来は右手に真なる炎の紋章を宿してしているから



「ゲドやワイアットが何とかしてくれんだろ。そういうお前は仕事いいのかよ」


『俺の分は終らせたし。ゲド達にを探してこいって言われたのさ』



の主な仕事は戦闘での前線
彼女は魔力、剣術と共に優れているため、英雄、つまりはの補佐役

そのため書類処理なども回ってくる



『…そうそう。サナが探してた』


サナ―…とはの 幼馴染みであり恋中の関係



「……ん―……」


『って否、行かなくていいのかよ?』


しかしはその場を動こうとはしなかった
二人の間に静かな時間が流れた

その横を乾いた風が流れる



『眠くなる…』



あまりもの天気の良さに瞼が重くなっていく
それに加え気持の良い風



「寝ればいいだろ」


『…サナの気持ちも考えろって―の…』


「んぁ、何か言ったか?」


『イエ、別に』



そんな会話が二人の中での関係 距離は短い

けれどは気付いていない
否気付いて欲しくはないと思う
しかし急にが口を開く




「そろそろ本格的にハルモニアも攻めてくるな…」


『…?』


「あまり…サナを巻き込みたくは無いんだ」



はハルモニアから紋章を盗み出した為炎の運び手として繰り返し衝突を起こしている
それも徐々に本格的なものになりつつにいた



『…それをサナに言ったって…』


「きかねぇよなぁ…」




まず彼女に言ったら戦場で
間抜けな事しないように見張ると言い出すだろう




『でも彼女なりにお前を心配してるんだ。決して強い訳じゃない』



人間、決して強い人間なんていない…
いたとしたらそれは心が砕けてしまっただけ―…





「…お前も弱いのか?…」



『へ……?』




言われた言葉の意味が分からずは目を見開く




「…お前、時々すげぇ辛そうな顔してる時があるから」


特に戦から帰ってきた時の表情がとても痛いのをは幾度となく見てきた
何をそんなに思い摘めているのか分からなくなるような切ない顔




『そ…んな顔してたんだ…俺。いやっあはは…知らなかったね』




「誤魔化すなよ」




急に腕を掴まれ顔を強張らせる
の顔は先程とは違い真剣な顔付きになっていた




『っ…痛いから…』


「何でそんなに平気そうな顔してるんだよ」




平気な顔してる訳じゃない…
そうしていないと怖いんだ




『別に…そんな…』


「嘘付け。そんな訳ない」




自分の嫌な所を見られたくない




『そんなんじゃっ…』




そう言い掛けた瞬間、視界に影が走った



「っ………?」



何が起こったか分からなくなった
頭の奥から真っ白になった気分になる





の唇が自分の唇と重ねられていることに気付くまで時間がかかった






・ ・ ・ ・






『なっなな!!!!!』





口元を抑え頬を蒸気させ後ずさる




「そっそんな拒否らなくったって…」


『っんな!!!お前は馬鹿かぁっっ』


「馬鹿って言うなっ」




二人とも顔を赤くし何が何だか分からない状態



『なっ…んでこんな事するかな普通…サナがいるってのに…』




一つ溜め息を溢す



「いや…唐突というか何というか…」


『何だよ…』


うー、と唸ること数分、急に顔を上げる




「どっちも好き…って事かな?」


『…は?』


「否、だから…」


『いいっ!!!分かったから言わんでいいっ!!』



更に顔を赤く染め、耳を両手で覆い隠す




「それで、お前は?」


『…ハ?』


「お前は、俺の事どう思ってる訳?」




急に聞かれた言葉に対しては一瞬戸惑った

が―…
その答えは既に心の中では出ていた
自分がその気持ちに
気が付いたのは何時頃だったろうか




『…好き…なのかな…』



その言葉を聞きは満足そうに微笑んだ





「じゃあ、お互い様って事だな」


『…サナ…御免』




こんな馬鹿好きになっちやって…




差し出された手には温もりが肌に残る。
―…けれどそれは昔の記憶…






彼は、はもういない…
彼は自分の道を選んだのだから
はハルモニアとの間に50年の不可侵条約を結んだ後、真の紋章を封印した―…



サナと、共に生きることを選んだ…



英雄の座を不老の力も捨てて
彼女と生きる道を選んだ しかし真の紋章を受け継ぎ封印するという事は
自らの寿命を縮めるということ…





『良いんだ…この方がにとっても、サナにとっても…』



気持ちでは分かっているに
その整理がついていない




…俺は…を愛していたよ…』





だから…
君から聞いた言葉を自分の中に刻んでも良い―…?





私はそのとき
自分では覚えていないくらい 長い間停めていた涙を―…







流した






*end*



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