ドリー夢小説

あまり人の多いところは好まない
に誘われて船に乗った当初は
あまりの人の多さに驚き、後悔した

けれど最近は
少しだけ和らいできているのは



きっとお前の存在











居場所













特に人も見当たらない甲板に足を運ぶことが多々ある

ドアを引くと
目の前に大海原と果てしなく澄み渡る空が移る
少し息を吸うと潮の香りが好きだった

辺りを見渡し、誰も居ないことを確認する

背を寄り掛けて空を仰いだ



この船には人が多い
あまり人の多いところは好まない
けれど基本的にいい人たちばかりで

最近では船に乗ってよかったとも思えるようになった



けれど一番の原因は…




『トラヴィス!』




この元気な少女かもしれない





…またか」


『あッ!何よその言い方』



口調では怒っているように聞き取れても
目の前に立っている彼女は微笑んでいた


いつからだろう…


この笑みに惹かれ始めたのは









*   *   *   *   *   *







未だ俺がこの船に乗り始めたばかりの頃
今ではないこそ、あまり物人の多さに酔うこともあった


辺りを見回しても
誰も俺のことを知らない

笑っている笑顔でもその下では何を考えているか分からない
そんなマイナス思考なことばかり考えていた


未だなれない船の揺らぎと人酔いで辛いときはいつも甲板に出、新鮮な空気を求めていた



普段どおり、誰も居ないと思っていた甲板に足を踏み入れる
流れるような冷たい風が火照った体には心地が良かった





「ふぅ…」



自然に出たため息は、自分の前髪を揺らした


その瞬間、背後からドアが開かれる音
振り返ると俺よりも年下の少女が立っていた


流れるような銀髪はこの海にこそ相応しい
銀髪から覗く紫の瞳はしっかりと俺を捕らえていた




『あら…貴方新顔さんね?』



人懐こい様な笑みをした。紫の瞳は少し細くなる




『名前は何と言うの?』



「………」



少し間をおく
あまり自分のことを話したがらないから

その間を彼女は少し気まずかったらしく
自分から名を名乗りだした



『私は、っていうの。貴方は?』




そう微笑み、少し邪魔そうな自分の髪の毛をずらした
風が吹くとまるで飛び立つ鳥のように




「…トラヴィス…」




俺が答えたら彼女は目を見開き、今まで以上の元気な表情を作った
二つの紫の瞳に俺が映る





『そう。あ、どうしてこんな所に居るの?』





持っていた洗濯籠を下ろし、俺の横に近づいてきた

何でこんなに親身なんだ…
只そんな事を頭の中で思っていた
どうも何だか…彼女には行動を狂わされる感じ




「あぁ…少し酔ったから…」


『そっか…長時間乗っていることに慣れていないのね』



彼女はどうやら船酔いしたのだと勘違いしたらしく
一度置いた、洗濯籠の中から何かを探し出している




『はいっ!』




そういって彼女が俺の目の前に差し出した物は
丸く、艶が有り瑞々しい林檎

太陽の光にまで反射し、より一層艶が引き出ていた





『林檎。さっき伯母さんに貰ったのよ。すっきりしたものを食べれば元気になるわ』



俺の手に林檎を持たせ、彼女は微笑んだ
そのときに触れた手の温もりが

恥ずかしながらに今でも覚えている



『私も最初は苦労したの。辛いのは分かるけれど我慢して』


「あ…ぁ…有難う」


『いいえ、どういたしまして』



少しの間だけ彼女と話しをした
驚いたことに、彼女も戦闘員だったこと

基本的に剣術は使わず魔法メインだそうだ
彼女も俺と同様、に誘われてこの船に乗ったらしい




「何でこの船に乗ったんだ?」




俺が彼女に尋ねたとき
少しだけ

方が微動したのが分かった




『そうね…クールークに仇が有るからかしら…?』


「仇…」


『そう、仇…』



彼女は無理そうに微笑を俺に向けた

何故仇討ちをするのか理由は聞いてはいけない気がした
何となく…
彼女が無理に笑うから


この日からだった
彼女が良く俺の視界の中に入ってき始めた頃






 

*   *   *   *   *   *






『またトラヴィスが一人で居ると思ったから話に付き合ってあげようかなって思って来たのに』



「余計なお世話だ」




初めて出会ったときのように俺の隣
空もあの時と同じで


勿論



今傍にいる君も同じ
あの頃と変わっていない





『全く…トラヴィスらしいセリフね』


「どういう意味だよ」


『そのままの意味よ』





その笑顔
その微笑が



いつのまにか







俺の居場所になっていたのかもしれない













end



2004/10/06


幻水W夢第二段

相変わらず胡散臭い夢…





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