ドリー夢小説


彼の言葉に皆の行動が停止する
その中でもソフィーはハウルの言っている意味が分からなかったらしく
驚きながら自分のポケットに手を入れた


カサリ、と紙の擦れる音

布の中から出て来たモノ
二つに折られた赤い紙



「何かしら?」

「…貸して」

『……』



赤い紙がハウルへと渡された

何となく嫌な感じがした
遅い来るこの感じは何なんだろう?
それが分かったのは直ぐ後の事




『―!ハウルっ!!』






から発せられた言葉と共にソフィーの手からハウルへと移動していた赤い紙は
ボウッという音と共に炎を上げて燃える
熱さに耐え切れず紙を机の上へと落としたら音を立て形を作る
黒い線で描かれた物は明らかに魔法



「あぁ、焼きついた!」



マルクルの言うとおり、その魔法は焼け音と共に机に跡を残す
熱を発し、黒い煙を出しながら





『魔法か…』

「あぁ…とても古い魔法だよ。しかも強力だ」

「―荒地の魔女ですか?」




も近くに寄りその呪いを確認する
暫く経っても今だ嫌な気を纏わり付かせる煙が上がっていた

机へと付けられた跡は何かを表している絵
その意味を理解し、は眉を寄せる




「―汝 流れ星を捕らえし者 心なき男」




星の子が中心として描かれている跡
何とも嫌味な嫌がらせだ





「お前の心臓は私のものだ……」

『よく言うもんだな、あの魔女も』

「テーブルが台無しだね…」




スッと跡へ手を伸ばす
その直後、ハウルの手からは煙が上がる

ジジ、という醜い音を立てながら跡を消してゆく




『―……』

「すごい!消えた」




跡形も無く消えた机を見、マルクルは身を乗り出した
茶の混じった煙が舞う

そっと手を衣服の中へと隠す姿をは見逃さなかった





「焼け焦げは消えても呪いは消えないさ」



ガタン、と椅子から立ち上がる
特有の金髪が揺れた

不思議そうにマルクルとソフィーが立ち上がるハウルを見た
いつも、普段どおりに顔を作るハウル





「諸君、食事を続けてくれたまえ」



まだ半分以上残っている皿を持ち、カルシファーの口へと運ぶ
ゆらゆら揺れる炎は器用にベーコンを口に入れた

マルクルとソフィーはその姿を呆気に見ていた





「カルシファー、城を100キロほど動かしてくれ」




もぐもぐと口に入れながら肯定の意を表す
カツカツと革靴を響かせ階段の手すりへと手を掛ける

その間、無言では椅子に座り食事を取っていた
たいそう不機嫌な気分で



「あぁ、それと風呂に熱いお湯を送ってくれ」

「エエ!それもかよぉ…」



渋々とカルシファーが文句を言い、ハウルが二階へと登りきり終わった後
勢いよく炎を上げる

急に城のスピードが上がり、音も激しく代わる
虚しく取り残されたマルクルとソフィーは顔を見合わせ座りなおす




「…ソフィーさんって荒地の魔女の手下なの?」



マルクルは疑うような瞳を隣の老婆へと投げかけた
その言葉を聞き、過剰なまでの反応を表す

それを横目には立ち上がり食器を水葉へと運ぶ
後ろではソフィーが怒る様に叫んでいた
けれどそれはただ耳に入るだけで、今は別のことを考えているにとって如何でも良かった




『マルクル、俺も上へ上がるよ』



綺麗に食べ終わった皿を水所へ重ねる。
カチャリ、と金属の擦れる音

階段へと向かい、一段登って
あぁ、そうだ。といい、マルクル達に振り返る




『ソフィーさん、良く当てが無いなら暫く居るといい。
きっとハウルもそう思っているさ』



そういい残し、階段へと登った





――


「…ねぇ…あの人も魔法使いなのかい?」

「え、の事ですか?えぇ、そうですけど…」

「ふぅん…」




椅子に座り、スプーンを口に運ぶ
その視線は階段へと登るへと向けられていた









  * * *







階段に登り、ハウルの元へ足を向ける
部屋の前へたどり着くと共に中から出て来た




「っと、。何のようだい?」



爽やかそうな笑顔を作る
その作られた仮面の様な笑顔を見るのは嫌いだ

スッと手を差し出す
何だろう、と目を点にし手を見つめる





『手。見せてみろ』

「……」





一瞬、引きつった顔を作った
そのまま無言で手を差し出す
ハウルの手には焦げ付いた傷
痛々しく赤くはれ上がっていた。
しかし本人はそれを無かった様に表情を作っていたのだ



その白く細い腕に布を巻く
清潔な布は先程跡を消す際に付いた傷を巻いた





『ハウル』

「ん、何だい?」

『あんまり無理はするなよ』

「―…」




それだけを言い、そのまま自分の部屋へと戻った
今の自分が出来る事は其れだけだから―

唖然と立ち尽くすハウルの視線は
腕に巻かれた白い布を眺めていた



ふいに視線を移した
窓の外は、さんさんとした太陽の光が入り込む
眩しそうに瞳を細めた






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2005/04/08
加筆修正2005/05/25




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