ドリー夢小説
他の男と話しているだけで
俺の中の嫉妬心は溜まってく

俺だけを見て欲しい


これは傲慢な願いなのかな…






     instability






今日も一段変わったこともなく仕事を終える


「お疲れ様」

「お疲れ〜」


そんな挨拶を交しながら
仕事の仲間達が一斉に収録現場を後にして行く


使い慣れた廊下を進むと
自動販売機の前に設置されているベンチに一つの影が有った


俺の存在に気づき、笑顔で迎えてくれる



『お疲れ様』

「待っててくれたの?」

『近くまで来たからさ』



そう、互いに笑顔を交えた
彼女の笑顔は優しくて

疲れきった俺を何処となく癒してくれる気がした



『もう帰れるんでしょ?』

「あぁ」

『じゃ、鈴の好きな一杯やってく?』



笑顔を絶やさず
いつも俺の前に存在していた



「お、良いねぇ〜」

『親父くさっ!!』

「酷っ!!」


いつの間にか、彼女が居る生活が当たり前になっている

けれどその分
俺の中には不安も募るわけで



「あ!俺、ちょっと忘れ物」

『じゃ、此処で待ってるよ』

「あぁ、すぐ戻ってくるな」



そうして俺は急いで階段を駆け上り仕事場へと戻る
もう誰も残っていない部屋の椅子に
無造作に置かれた自分の上着

それを急いで掴み彼女の元へと走った








彼女の元について、まず見た光景

それは違う男と仲良く喋っている彼女
仕事仲間の櫻井孝宏

俺と同期の櫻井は
よくよく彼女とも仲が良くて

それを見るたびに俺は胸を痛めた

そんなん自分にあってないって…分かってても
この気持ちは止める事が出来ない



『あ、鈴!』


俺の存在に気づいたらしく、笑顔を向ける
その笑顔に、

俺は笑顔で答えられてたかな?


「じゃ、俺は此処で」

『じゃ、気をつけて』


そんな櫻井と彼女の会話を聞いているのがやっとで
櫻井に挨拶も無しで別れた


夜の街道は暗いけれど
左右に置かれた外灯で道は照らされた


夜にもかかわらず東京の街は賑やかで
余計に俺の心を乱した



小さな沈黙が続く
只無言で道を進むだけ



『…鈴…』

「…ん…」

『何か有った?』

「何で…」

『無言だからさ…』


口数が減ってしまうのも仕方がない
先程、あの様な光景を目にしたのだから

自分にとっては結構ショックな事


「別に…」

『そ…?』


再び歩き出す
自分の好きな杯なはずなのに
何だか足が重たい

高鳴る鼓動を抑え、思い切って彼女に尋ねる


「なぁ…」

『何?』

「さっき…櫻井と何喋ってたんだ?』


その言葉を発した途端
彼女の足は止まった



まずい…



聞いたことを後悔したが、既に遅く
彼女を傷付けてしまったかもしれない



『……っ』

「あぁ、悪い!別にそんなつもりで聞いたわけじゃっ…」







『っあはははは』








……え?








窮に彼女がお腹を抱え、笑い出した
その行動に、どう反応してよいものか
俺はその場で只呆然と立ち尽くしているだけ



『あははは、お腹…い、痛い!』

「な、何!?俺なんか変なこと言った?」


暫く彼女は笑い続けていたけれど
俺は全く如何して良いのか分からずのまま




『つまりさ…鈴は櫻井君に嫉妬してたわけでしょ?』


目尻の涙を指でふき取り、俺に視線を向ける





「嫉妬…」


『だからさっきから無言だったんだ』


「否、俺…」


『別に、嬉しいよ』


そう、彼女は微笑んだ


『鈴が嫉妬してくれて嬉しかった』



眩しくて、優しくて
いつも俺の傍に居てくれた笑顔
俺の一歩手前へ進み

俺を振り返る


その振り返ったとき彼女の漆黒の髪が靡いた
外灯に照らされ、より一層美しさを増している


心の中の不安なんて
何処かに消えてしまっていた

彼女の笑顔で




『さ、早く飲み行こっ』



「…あぁ…」



『勿論、鈴の奢り』



「うぇっ!!!?」



『当たり前でしょ』



満面の彼女の笑顔で
俺の小さな嫉妬心なんて吹き飛ばされた



きっと


これからも


ずっと隣で------





*end*
後記の裏腹反省場
名前変換なくてすみません…(汗
なるべく声優夢は変換無しにしようかな…と
2004 8/1



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